August 14, 2007
女の頭突きと涙。「サイドカーに犬」。
子供の頃の夏休みってどうしてああ輝いていたんだろう。見るもの、触るもの、行くところ。全部が全部いい思い出のような気がする。俺は大人しい子供だったので、この映画の主人公の女の子のように弱腰でフラフラしていた。でも好奇心は旺盛だった。まだ涼しい夏休みの朝、親父が運転するバイクの乗せてもらって、アップダウンが激しい山道を疾走したことやそのときにクワガタを見つけたことや、納涼フェリーにのって遊んだことはすごく面白かった。
夏休みに母親と入れ替わりのようにあらわれた父親の愛人ヨーコ。
少女の瞳に、男勝りのヨーコのさばさばした感じは母親とは真逆。若干過保護というか、冒険させらずに育てられてしまった薫は、ヨーコの姿に戸惑いながらも気持ちよさを感じずにいられない。
ヨーコのシンプルな言動は、薫を一人の人間として考えている証拠だし、友達として認めているということ。そのことに薫は素直に喜び、自分の気持ちや自分の本当の言葉を一つ一つ出すことができていく。
子供は、発想の天才。そして感受性は大人とは比べ物にならないほどに鋭い。
大人の一つの言葉がいつまでも子供の心を縛ったり、逆に勇気をたくさん与えたりする。
薫は、自分の中の自分らしさを見つけて心からの笑顔を見せる。その瞬間は、近年まれに見るほどに美しい映像だし感情。そして、その向こうにあるヨーコの複雑な想い。
そういう感情と表情のコントラストが唸るほどに素晴らしい。
竹内結子が映画界に復帰した今作。果敢な挑戦になっただろう、今までにない勝気な役どころを演じている。
スポーツな自転車にのり、コーラを豪快に飲む。でもその中身には、薫の父に対する想いと寛容があり、それがヨーコのサバサバした言動に滲んでいる。
竹内結子はヨーコの中で成立する感情と言葉を、作り過ぎないキャラクターで見せる。そして、最終的には言葉や態度ではなく、ヨーコの黙っている表情が映画に色濃く感情と感傷を色づけ、観客の感情を刺激する。
そして、クライマックスのヨーコの想いと涙には、切な過ぎるものがなみなみと流れる。その時点に至って、竹内結子の仕事の大きさがググッと膨らむ。
素晴らしい。
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そしてこの映画を語る上で欠かすことができないのが薫役の松本花奈。
なんかこう感情そのまま、不安そのまんまっていう感じ。弱腰のフラフラした感じなんて、か弱く素直な少女を絵に描いたような存在感。そして、徐々にヨーコに感化されて無邪気な表情を見せる。そして、最後の頭突きは感情のダムが決壊ものだ。
ほんとにすごい。
期待して気合入れてみたわけだけど、なんかそういう力みが嘘のようになくなってしまういい意味で力抜けた素晴らしい作品。子供の視点の柔らかく、そして丁寧な映画のつくりが夏の気持ちいい幻を見たかのような爽やかさを与える。
実は買ったばかりのクロスバイクで映画館に行っていたので、帰るときはヨーコの心境な感じでサドルにまたがった。
なんか、ほろ苦いけどほほえましい夏休みのきれいな映画。そして、竹内結子の素晴らしいリスタートなのだ。
新潟県中越沖地震被災者のための義援金。イーバンク。
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この記事へのコメント
めちゃ褒めですな、竹内結子に!
そういや、竹内結子作品って、
ひとつも観たことないのよね。
今度じっくり観てみるべ。
ちなみに、おすすめって、
やっぱ、「サイドカー」?
こんばんは☆
いやー竹内結子は、いま日本の女優で一番安定している女優だと思います。この作品を見て改めて思いました!
月並みだけど「いま、会いにいきます」と「星に願いを」と「天国の本屋 恋火」がいいと思いますよ☆
レビューしてありますので右上のレビューリストをどうぞ!笑
ネタばれしてないはずですw



